はじめに 母の連れ子として義理の中に育った私は、肉親の愛には餓えていた。 しかし、私の生涯においては、幾多の人の愛によって助けられ救われてきた。 楽しい思い出はあまりない故郷ではあるが、越前和紙の産地であることは、私の誇りである。 また、自暴自棄になって行った大陸の花嫁。ここでもいろいろな苦難はあったが、あの開拓地は、もう再び行ける所ではないが第二の故郷でもある。 山峡の自然の中に育ちながら、大陸の大自然を経験し、同じ地球上に生きる人との心のふれあい、また、死線を越えて培った、心の友を得ることの出来た私は幸せである。 母は、どんな気持ちで私を産み、育ちゆく私を見ていたのか知らないが、今の母は、私に看取られていることに心安らいでいる。
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