ごあいさつ

                          井筒 紀久枝

  

   私は以前、「生かされて生き万緑の中に老ゆ」と題して自分史を出しまし

た。が、それは応募作品でしたので、それまで生きてきた70年を、規定の字数

にまとめただけでした。

  それで今一度、80年生きた自分の生涯を振り返り、体験してきたことを書き

残しておこうと思うにいたりました。

  20世紀を生き、生かされてきた私は、貧しく封建的な時代に育ち、厳しい

軍国時代に青春を迎え「大陸の花嫁」になりました。その「大陸の花嫁」になっ

た女たちの残したもの。それは、戦後半世紀以上を経た今もなお続いている、

中国残留孤児、残留婦人問題です。

 私はしばらくの間でしたが、残留孤児・残留婦人の支援活動のお手伝いをさせ

てもらいました。その中に満州を知らない、戦争を知らない若い人たちが支援活

動を活発にしておられるのには感動しました。その労をねぎらう言葉も残してお

かなければと、思います。私自身の満州開拓体験、引揚げ体験は、前作品より

きめこまかに書き、帰国者から聞いたことなども書いておきたいと思います。  

  そのような著書は数多く出版されていますが、私は私なりにこの目で見てき

たこと、感じたこと、この身体で覚えていることを綴っていきたいのです。

  とはいいますものの、最近体調が整わず、娘の協力を受けながらの作業

です。命ある間に完成させたいと思い、頑張っています。

                                                                             2001年 1月

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